つみたてNISAコラム
「つみたてNISA」開始3カ月、対象商品"売れ筋"は?
「つみたてNISA」の開始からもうすぐ3カ月が経過する。対象商品の純資金流出入額に基づき、売れ筋ファンドの顔ぶれをチェックした。なお、今回紹介するデータは、つみたてNISAの対象商品(金融庁公表の2018年3月19日時点)であるパッシブ127本、アクティブ15本について集計しているが、つみたてNISA経由での流入に限らず、一般的に投信を購入した資金フロー全てを対象としている点にご注意いただきたい。
パッシブは日経平均連動型、フィーレベルが「安い」ファンドに資金流入
まずパッシブファンドについて、対象商品全体の純資金流出入額の推移を開始前と開始後の3カ月で比較すると、2018年1月の開始後は毎月300億円を超えるペースで純資金流入となっており、つみたてNISA効果が伺える(図1参照)。
図表1:つみたてNISA対象商品のうちパッシブファンドの純資金流出入額

※2018年3月は28日まで(モーニングスター推計値)
出所:モーニングスター作成
具体的に、パッシブファンドの純資金流出入額ランキング(2018年1~3月までのトップ10)を見ると、同期間に144億円の純資金流入で第1位となった「野村 インデックスファンド・日経225」など、4位までが日経平均株価連動型であった(図2参照)。国内株式市場では2018年2月に株価が急落しており、つみたてNISA経由とは別に逆張り狙いの買いが影響している可能性があるものの、本格的に相場の調整が始まる前の同年1月だけ見てもこれら4ファンドで計129億円の純資金流入と、相対的に高水準の資金が流入している。投資初心者をターゲットにしたつみたてNISAにおいて、身近な日経平均株価連動型が選好されている可能性がある。
また、5位以降を見ると、より分散投資を意識した顔ぶれとなっており、第5位に日本を除く先進国の株式に分散投資する「〈購入・換金手数料なし〉ニッセイ 外国株式インデックスファンド」、第9位にバランス型ファンドの「eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)」などがランクインした。つみたてNISAの対象商品となるにはコスト基準があることからそもそも高コストのファンドは除かれているが、5位以降の6ファンドは、各資産内でアクティブ・パッシブ別に相対的なコストの水準を示すモーニングスターフィーレベルがいずれも5段階で最も低コストの「安い」となっており、パッシブファンドの中でも高いコスト競争力を有するファンドだ。また、「〈購入・換金手数料なし〉ニッセイ 外国株式インデックスファンド」を除くと、5ファンドいずれも2017年に設定されたファンドであり、低コストの新商品に注目が集まっている。

※2018年3月は28日まで(モーニングスター推計値)
出所:モーニングスター作成
アクティブは「ひふみ」の資金流入が圧倒も、その他も健闘
一方、アクティブファンドについても同様に、対象商品全体の純資金流出入額の推移を開始前と開始後の3カ月で見ると、全ての月で日本株ファンドの「ひふみプラス」、「ひふみ投信」が合計で資金フローの6割以上を占める結果となっている(図3参照)。両ファンドは、つみたてNISA開始前から人気化しており、つみたてNISA以外での資金流入が大きく影響している可能性が高いが、ネット証券のつみたてNISAランキングで見ても、例えばSBI証券の2月の月間積立設定金額で第1位となるなど支持を集めている。
また、アクティブファンドの純資金流出入額ランキング(2018年1~3月までのトップ10)を見ると、「ひふみプラス」と「ひふみ投信」以外では8ファンドのうち「世界経済インデックスファンド」や「ニッセイ 日本株ファンド」など7ファンドが、つみたてNISA開始後3カ月の純資金流出入額の合計が開始前の3カ月を上回っており、制度開始がプラスに働いている可能性がある(図4参照)。
図表3:つみたてNISA対象商品のうちアクティブファンドの純資金流出入額

出所:モーニングスター作成

※2018年3月は28日まで(モーニングスター推計値)
出所:モーニングスター作成
パッシブとアクティブを合せた2018年1~3月の純資金流出入額ランキングではトップ10のうち7ファンドがパッシブと、パッシブ優勢となっている。つみたてNISA対象商品142本(ETF3本除く)のうち、127本がパッシブであることを考えると当然とも言えるが、国内投信全体(ETF除く)で見た純資産額ベースでは8割以上をアクティブが占めるなどパッシブは一般的に普及しているとは言い難い状況だ。だがパッシブファンドの中では低コストファンドを重視する動き着実に広がっており、つみたてNISAをきっかけにこうした流れが加速するか注目される。
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