つみたてNISAコラム

つみたてNISA、ネット証券と地方銀行ではなぜ取扱い商品数が異なるのか?

 つみたてNISA(ニーサ、少額投資非課税制度)の取り扱い商品本数がネット証券では120本を超えるのが当たり前になってきました。現在、つみたてNISAの対象商品数は総数で148本(うち、ETFが3本、5月17日現在)ですが、主要なネット証券4社では122本~135本の品揃えとなり、独立系の直販ファンドを除いて、ほぼ全ての商品を品ぞろえしている状況です。それだけ多くの選択肢を用意しているともいえますが、選択肢が多くなると商品を選ぶ手間がかかることにもなります。品揃えを増やしたネット証券4社には、商品を選びやすくするサポート機能の拡充が期待されるところです。

ネット証券の品揃えは120本以上に拡大

 つみたてNISAの取り扱い商品数は、SBI証券が135本(うち、アクティブ12本)でトップ。以下は、楽天証券132本(同12本)、松井証券123本(同11本)、マネックス証券122本(同10本)と続きます。これに次ぐのが、高木証券の47本(同9本)になりますから、ネット証券4社の取り扱い本数は、頭抜けて多いことがわかるでしょう。一般の銀行や証券会社は、15本以下が一般的で、3本、4本というところも少なくありません。(こちらから、金融機関の取り扱い商品数がわかります

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出所:モーニングスター作成


 この取扱本数は、多ければ良いというものでもないのです。つみたてNISAは、そもそも「株式投信を使った積立投資によって資産を形成する手段」として作られています。しかも、金融庁は取扱商品には、厳しい制限を設けています。代表的な株価指数に連動するインデックス投信、または、長期にわたって継続的に資金流入のあるアクティブ型の株式投信に限って対象商品として認めています。

 代表的な株価指数は、「国内株式」「先進国株式」「新興国株式」「全世界株式」の4カテゴリーに分類されます。これ以外の分類としては、複数資産に分散投資するタイプのバランス型投信で、その代表例が「国内外の株式・債券・リート」に投資する「6資産均等型」、また、「国内・先進国・新興国の株式・債券、そして、国内外のリート」に投資する「8資産均等型」があります。

つみたてNISAの目的は10本以下の品揃えでも十分に叶えられる

 国内株式の代表的な株価指数には「日経平均株価」と「TOIX(東証株価指数)」があるなど、それぞれのカテゴリーで複数の指数はありますが、傾向的な値動きは同じだと割り切れば、4カテゴリーに1本ずつの4本で十分な品揃えということもできます。4本のうち、「国内株式」+「先進国株式(除く日本)」+「新興国株式」の組み合わせが「全世界株式」であることを考えれば3本でも十分ともいえます。また、債券への投資をカバーするために、バランス型を1本加えれば、4本~5本という品揃えになります。

 10本以下の品揃えでサービスを提供している金融機関の多くは、「国内株式」「先進国株式」「新興国株式」「バランス型」という4つのカテゴリーに1本の品揃えになっています。ここに、「国内株式」と「先進国株式」にアクティブ型投信を加える、または、「バランス型」を複数本品揃えるなどの工夫があります。

 ネット証券は、商品選択を利用者にゆだねるという考え方ですので、より多くの選択肢を提供しています。「国内株式」については、「日経平均株価」「TOPIX」「JPX日経400」をそれぞれ品揃えし、かつ、様々な運用会社の商品を用意しています。ですから、日経平均株価に連動するインデックス投信が複数本あります。単純に運用コスト(信託報酬)が安ければよいというものではありません。詳しい投資家になると、投資信託の規模、また、指数との値動きのブレを表すトラッキングエラーなども含めて商品を選ぶ人もいます。「好きな運用会社」の商品を揃えたいという人もいます。多様なニーズに応えるという考え方が、多くの品揃えの背景でしょう。

運用コストが低い商品はネット証券のみで取扱い

 結果的に、各カテゴリーで最も信託報酬が低い投信は、ネット証券に揃っています。取扱商品数が少ない金融機関で、最も低い信託報酬の投信を揃えているところはありません。そもそも「業界最低水準の信託報酬をめざす」として、より低い水準の投信が現れるたびに信託報酬を引き下げている三菱UFJ国際投信の「eMAXIS Slim」シリーズはネット専用になっています。対面応対を基本とする銀行や証券会社では、取扱いができない商品です。つみたてNISA対象商品の中で、もっとも信託報酬が低い(税込で年0.1155%)「EXE-i つみたて先進国株式ファンド」(SBIアセットマネジメント)を取り扱っているのはSBI証券のみになっています。(こちらから、つみたてNISA対象商品の一覧がわかり、商品比較もできます

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出所:モーニングスター作成


 ネット証券の商品選択のサポート機能としては、各社がサーチ機能を使って、パフォーマンス順やコスト順などで並べ替え比較ができるようにしています。また、SBI証券は「つみたてNISAピックアップファンド」というコンテンツで、銘柄選びのポイントを解説しています。また、つみたてNISAで分散投資がまとめて設定できる「カートつみたて」機能を提供するなど、使いやすい機能の充実にも努めています。今後、つみたてNISAの残高が徐々に拡大するとともに、各社のサービスは拡充していくと期待されます。

「まず、やってみる」、始めることで将来にゆとりを

 このように、つみたてNISAの特性から判断すると、品揃えが多いほど良いと単純にいえるものではありません。10本もあれば、制度がめざす「株式投信による積立投資」のニーズは満たせます。

 また、「積立方式でないと購入できない」「毎月の積立額の上限は3.3万円(年間40万円以内)」「つみたて期間は最長で20年間」「一度購入した商品を制度内で買い替えができない」など、投資収益非課税の税メリットを受けるための制限もあります。このため、多くの金融機関で、つみたてNISAを投資未経験者のための入門口座と位置付けています。「まず、やってみる」というにあたっては、「相対的にコストが低い」「分かりやすい」ということが大事だからこそ、取扱商品数を絞っているという金融機関もあります。

 つみたてNISAについては、今年1月からの取り扱い開始から約半年が経過し、サービス提供する側のサービスメニューは、出そろった段階だと思われます。時間の経過とともに、顧客の声に応えてサービスのブラッシュアップは緩やかに続くのでしょうが、極端な変化は制度そのものの変化がない限り起こらないでしょう。これからは、使う側の私たちが、この制度とどのように向き合うかが問われます。「まず、やってみる」ことで身に付く、資産形成の習慣は、あなたが若いほどに、大きなゆとりを将来にもたらすものです。

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