つみたてNISAコラム

「投資は怖い」見直しませんか? つみたてNISAで始める長期・分散・積立投資

 つみたてNISAは、スタートダッシュに成功したとは言い難い、静かな始まりになっています。関係者に聞くと、「つみたてNISAは資産形成層のための新制度。投資経験のない人に投資を始める意義を説く必要があるので、普及には時間がかかる」といわれています。ただ、つみたてNISAが普及するのか、すなわち、「国民が資産運用に主体的に取り組むか否か」とは、これからの日本の行く末をも左右する大きな問題でもあります。昨年のiDeCo(個人型確定拠出年金)、今年のつみたてNISAと、なぜ立て続けに「税制で投資を後押しする制度」が生まれているのでしょう? そこには、否応なく資産運用を受け入れてほしいという政府の強い願いが込められているように思います。

 これからの日本社会を展望すると、65歳以上の高齢者が目に見えて増えてきます。すでに、総人口が減少する中で高齢者の人数が増えているため、総人口に占める65歳以上人口比率は年々高まっています。65歳以上人口の割合は、2000年に17.4%でしたが、2017年には27.7%になりました。2040年には35.3%にまで高まると予測されています。2040年には、65歳以上が3,921万人、うち、80歳以上は1,578万人になる予想です。現在、日本は世界で最も高齢化が進んだ国といわれますが、その様相が、ますます色濃くなってきます。

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 一方、日本では高い家計貯蓄額があります。世帯主が65歳以上である2人以上世帯の貯蓄現在高は2016年で1世帯当たり平均2,394万円(中央値は1,484万円)です。日本人の貯蓄行動をみると、年収が減少傾向にあるのに、貯蓄高は増加傾向にあります。2000年以降の家計の消費支出の推移には、何とか家計をやりくりして支出を削ろうとしてきた家計の苦労がしのばれます。2016年は日銀による「マイナス金利政策」がアナウンスされ、1990年代から続いてきたゼロ%金利が、「ゼロの下限」にはり付くようになりました。この年、家計の支出はグット抑えられ、貯蓄額は増えました。金利がゼロ%ではり付いているため、「金利で増えない分、貯蓄の残高を積み増す」方向に動いたように見えます。
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過去最高水準に積み上がる家計の貯蓄額

 2016年現在で、家計の貯蓄額は、年収の約3倍の水準にあります。過去最高の年収比率です。これが、今後、どこまで増えていくのかわかりませんが、消費支出を削ってまで貯蓄を増やすということが長く続くとは思えません。家計の消費が抑えられることは、日本の経済そのものを不活発にもします。

 まして、今後の人口減少・高齢化進展の社会では、日本の国力を維持するため、これまでにない様々な取り組みが必要になります。現在、国会で議論が進む「働き方改革」(女性と高齢者の就労の促進など)もその一つです。つみたてNISAやiDeCoの導入も、この流れで考えると分かりやすいと思います。生産年齢人口が減少し、働いて給与を得る力が衰える中、金融資産を有効活用することによって、日本の富を豊かにしようということなのでしょう。

 現実問題として、消費支出を削って貯蓄を積み増すより、預金から投信に資金を移すことで投資リターンで貯蓄額が増えるのであれば、国全体の活動にはプラスです。銀行に預けても、銀行は貸出先を確保することに苦労しています。預金は利息も生まないので、預金に回った資金は「死に金」になってしまうともいえます。それが、投信に振り向けられれば、投信を通じて国内株式に資金が流れ、あるいは、海外資産に投資され海外企業の成長や債券の利回り等を取り込む力になります。

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長期・分散・積立投資がマイナスをプラスに変える効果

 「預貯金を投信へ」という話になると、預貯金しかしてこなかった方々は、「投信は損をするかもしれないから怖い」と感じてしまって、話が進まなくなってしまいます。ただ、投信について先入観を持つことなく、正味の姿を見てもらえれば、それほど怖くはないということを納得してもらえると思います。そして、「怖くない投資」のポイントが、「長期・分散・積立」による投資です。

 ここに、「DC専用投信」と「その他の一般の投信」のインベスターリターンの比較があります。インベスターリターンとは、 日々のファンドへの資金流出入額と、期首及び期末のファンドの純資産総額から求めた内部収益率を年率換算したものですが、文字通りに投資家が得ているリターンと読み替えることもできます。「DC専用投信」は確定拠出年金で活用される投信ですから、毎月の積立で購入されている投信です。「その他の一般の投信」は、基本的に一括投資されている投信です。一目見て、「DC専用投信」のリターンの高さがわかります。

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 表は、2016年末まで10年間の平均リターンを示しています。「日本株」で積立投資をしていた場合、10年間の平均のリターンが年3.3%だったという結果です。一括投資をしていると、年平均でマイナスのリターンですから、資産が減っています。同じことは、「先進国株式」「先進国REIT」にもいえます。「長期」ともいえる10年も経っているのにもかかわらず、マイナスのリターンになっていることは「怖い」ことだと思います。

 また、この表で本当に「怖い」と感じられることは、「バランス」がマイナスになっていることだと思います。「バランス」は、株式や債券に分散して投資している投信です。投資のリスク管理では重要だといわれる「分散」をしているにもかかわらず、マイナスの結果です。「長期」で「分散」してもマイナスであれば、投資をすることはためらわれるのは当然です。

つみたてNISAで「怖くない投資」を実践

 2016年末から過去10年間は、「長期」で「分散」していてすら、プラスのリターンを得られなかった、大変厳しい10年間だったということがいえます。「100年に1度」といわれた「リーマンショック」(2008年)、通貨としてのユーロが崩壊するといわれた「欧州債務危機」(2010年)、リーマンショック後の世界経済の回復をけん引した中国が息切れした「チャイナショック」(2015年)など、世界中の株価が急落する場面がこの10年間に相次いで起こりました。

 ところが、「長期」も「分散」も効果がないほどに荒れた市場にあっても、「DC専用投信」=積立投資のインベスターリターンはプラスです。「日本株」「先進国株」「先進国REIT」「バランス」も、一括投資ではマイナスのものであっても、積立投資をすることによってプラスのリターンをあげることができています。これでもかというほど、市場を揺さぶる大波が何度も押し寄せてきたにもかかわらず、終わってみれば平均で年率3.8%のプラスリターンを残したのが、「長期・分散・積立」を実施した「DC専用投信」でした。

 つみたてNISAは、この「長期・分散・積立」を実践する口座です。購入時の手数料は無料、運用に関わる手数料(信託報酬)は極めて低く抑えられています。しかも、収益非課税です。「習うより慣れろ」という言葉もあります。多くの金融機関で、毎月1,000円から始めることができます。月に1,000円では、年間で1.2万円。10年でも12万円ですから、資産形成には不十分といえますが、1,000円で始めたものを、慣れるにしたがって、5,000円、1万円へと増額していくこともできます。つみたてNISAでは、毎月3.3万円まで収益非課税で資産を積み上げていくことができます。新しい時代に対応した資産形成手段をぜひ、試していただきたいと思います。

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