つみたてNISAコラム

「NISAの日」に考える、つみたてNISAで株式を主体とした投資信託を対象とする理由

 2月13日は、「NISA(ニーサ)の日」として、金融庁でも資産形成について考えるきっかけにしたいと、セミナー等のイベントを開催しています。今年は、東京駅直結のステーションコンファレンス東京での「NISAの日セミナー」の後援などを行います。つみたて(積立)NISAのスタートにもあたり、「資産形成元年」を掲げて、これまでに増して、資産形成ビギナーへのNISAの浸透を図っています。

 なぜ、「資産形成元年」なのでしょう? 昨年は、個人型確定拠出年金「iDeCo」の制度改正を行って、全ての国民が「掛金全額所得控除」という大きな税制メリットのある資産形成手段を手に入れました。そして、今年は、「20年間にわたって投資収益非課税」という「つみたてNISA」がスタートしています。iDeCoは毎月5,000円以上、つみたてNISAはネット証券等では100円からでもスタートできるという「少額から」、そして、「誰でも」できる制度です。「まずは、資産形成を始めてください」という国からの強いメッセージが背景にある制度といえます。

株式投資信託にしか投資できない「つみたてNISA」

 もっとも、「資産形成」は、やるやらないの判断は自分自身の問題であり、国から強制されるような性格のことではありません。まして、iDeCoには「元本確保型商品」があるため、値下がりのリスクがない預貯金や保険商品で積立ができますが、つみたてNISAの場合は、「投資信託」しか積立対象がありません。その投資信託も、主として株式に投資する投資信託が指定されています。

 すなわち、「NISAの日」で行われていることは、「資産形成元年」=「株式投資信託への投資を始めましょう」というキャンペーンに他なりません。なぜ、資産形成を「株式への投資」によって行うことが良いのでしょうか? それは、株式への投資が長期にわたる積立の対象先として、相応しい成績を残せると考えられるためです。ただ、単独の株式であれば、どんなに大きな企業であっても倒産や経営破たんなどのリスクがあります。ですから、複数の株式に幅広く投資する「株式投資信託」による積立を推奨し、日本国内の企業だけではなく、世界各国の企業に幅広く投資する機会を提供するのが「つみたてNISA」です。

過去30年間、大きな値下がりもカバーして世界株価は緩やかに上昇

 なぜ、株式への投資が資産形成には相応しいかということは、これまでの世界の株価の推移が証明しています。世界の株価の動きを表す「MSCI ACWI(オール・カントリー・ワールド・インデックス)」(日本円ベース)の過去30年間の推移は以下のグラフのようになっています。10年~30年という長い期間でみれば、世界の株価は右肩上がりで値上がりしています。「ITバブルの崩壊」「リーマンショック」「チャイナショック」など、1-2年の期間でみれば、目を覆いたくなるほど大きく値下がりすることもありますが、そこから、3年、5年と期間を経てみると、大きく下げたはずの下げ幅を回復してしまう力強さが株価にはあります。

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出所:モーニングスター作成

 この大きくなろう、成長しようとするエネルギーは、資本主義社会という、「お金」の流通を前提にした社会に備わった力といえるのでしょう。手元に1万円があり、その1万円で何が買えるのかということが理解できれば、それを2万円や100万円に増やしてもっと多くのものを買いたいという欲が出てきます。そのようにして、私たちの祖父母や父母の世代が月給1万円で生活していた暮らしが、月給10万円では足りず、月給30万円が必要な生活が当たり前になってきています。

 お金は膨張します。実際に、OECD(経済協力開発機構)が予測する今後の世界GDP総額は、今後も2060年まで緩やかに拡大する見通しです。世界のGDPが拡大するに歩調を合わせて、世界株式の時価総額も拡大することが見通せます。このような世界経済の拡大に合わせて、資産が増えていく仕組みを提供するのが、つみたてNISA創設の狙いです。

 「MSCI ACWI」という株価指数は、つみたてNISAの指定インデックスのひとつです。「MSCI ACWI」に連動する投資成果をめざす投資信託には、つみたてNISAの対象商品として「全世界株式インデックス・ファンド」(ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ)「野村つみたて外国株投信」(野村アセットマネジメント)「三井住友・DCつみたてNISA・全海外株インデックスファンド」(三井住友アセットマネジメント)「eMAXIS全世界株式インデックス」(三菱UFJ国際投信)があります。

 あるいは、国内株式のインデックスファンド(日経平均株価やTOPIXなどに連動する投資信託)と、(日本を除く)先進国株式(MSCIコクサイ・インデックス)に投資するインデックスファンド、そして、新興国株式に投資するインデックスファンドの3本の投信を組み合わせて持つという方法でも「MSCI ACWI」に投資することと同等の投資効果を上げることもできます。

積立投資のメリットは、価格の変動を長期で収益機会に変えること

 おりしも、世界の株式市場は米国の利上げペースの加速懸念などを背景に、大きな値下がりを経験しているところです。2月第2週のニューヨーク・ダウ(30種工業株平均)は1週間で1330ドル、下落率で5.2%という下げになりました。2016年1月のチャイナショック時の6.8%安以来の下落率でした。日本の株価も含め、世界の株価が同時に下げました。このような株価の下落は、今後も繰り返されることと思われます。

 ただし、毎月一定金額をコツコツと積み立てていくと、株価の上下動による価格変動のリスクは小さくなります。過去30年間にわたって「MSCI ACWI」(円ベース)に毎月1万円を投資し続けた結果は、以下のようなグラフになります。30年間に360万円の元本に対し、積立投資の結果は834万円になりました。積立投資の結果、元本を下回ったのは、リーマンショックのような巨大なショックが起きた時の数カ月間のことに過ぎません。積立投資のメリットは、価格変動がある商品を長期に購入し続けることによって、将来は大きく報われるということにあります。

 2月13日の「NISAの日」を機会に、世界の株式に積立投資をすることによって、資産をつくっていくという「つみたてNISA」の活用を検討してみましょう。

毎月1万円を「MSCI ACWI」に積立投資した結果(1987年12月~2017年12月)

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出所:モーニングスター作成




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