つみたてNISAコラム

つみたてNISA対象商品の基準見直しを促す? アクティブが大活躍した2017年運用成績

 つみたてNISA(積立NISA)の運用商品は、インデックス(株価指数等)に連動するパッシブ型の投信(ファンド)に偏っています。アクティブ型(インデックスを上回る運用成績を積極的に狙って運用するタイプ)のファンドは、採用基準が厳しいこともあって対象ファンドは15本にとどまっています。この15本のファンドについて、昨年1年間の運用成績を調べると、大変良い成績をあげていることが分かりました。これを機に、アクティブファンドへの見直しが進むことが期待されます。

つみたてNISAは、アクティブファンドの採用に慎重

 つみたてNISAのアクティブ型ファンドの採用基準は、(1)純資産額50億円以上、(2)信託開始以降5年以上経過、(3)信託期間中の3分の2以上で資金流入超、(4)ノーロード(販売手数料無料)、(5)信託報酬は国内型で税抜1.0%以下、国際型1.5%以下――などという条件をすべて満たすこととされています。この中で、3番目の「3分の2以上の期間で資金流入超」という条件がネックになって、アクティブ型のファンドは、ほぼ締め出されています。

 制度設計の議論等の中で、「アクティブファンドは運用コスト(信託報酬)が高い(長期運用では運用コストは低い方が良い)」、「運用成績がインデックスに勝てないものが多い」という見方が強くありました。したがって、「(20年間という長期運用手段である)つみたてNISAには、アクティブファンドは相応しくない」と、アクティブファンドを意図的に排除する方針が固まりました。「マーケットから継続的に選択・支持されている一定の投信」のみを例外的に対象ファンドに認めるというスタンスでした。

アクティブファンドの運用成績はインデックスを大きく凌駕

 現在、つみたてNISAの対象商品になっている15商品の昨年1年間の運用成績を調べたのが、以下の表です。もっとも運用成績が良かった「ひふみ投信」が1年間で44.8%の値上がりとなった他、15商品が全てプラスのリターンでした。もっとも、昨年は「歴史に残るほど株式市場が全般に好調だった1年」といわれます。国内株式の代表的なインデックスであるTOPIX(東証株価指数)が22.2%(配当込み)の値上がりになった他、総じてインデックスも値上がりしました。そこで、インデックスと比較して、どの程度の成績に差があったのかも調べました。

つみたてNISA採用アクティブファンドの2017年運用成績

20180119_actfundresult2017.jpg

出所:モーニングスター作成

 トップの「ひふみ投信」がインデックスの値上がり率の2倍の成績だった他、単一の株価指数と比較できるファンド10本のうち、7本でインデックスを上回る運用成績が確認できました。トータルリターンは、信託報酬等の手数料を控除後の成績になります。アクティブファンドの運用成績は高い方が良いのはもちろんですが、年間で2%以上もインデックスを上回れば、アクティブファンドを選ぶ理由になるのではないでしょうか? もちろん1年だけの運用成績で軽々に判断できるものではありません。

つみたてNISA採用基準を無視すれば大きなリターンの獲得可能

 ただ、つみたてNISA対象商品以外のアクティブファンドの運用成績を調べると、昨年1年間では、「ひふみ投信」を上回る成績をあげたアクティブファンドがあります。国内株式型でみると、「国内小型グロース」(71本)はカテゴリー平均で1年間のトータルリターンが51.8%ですから、ほとんどの銘柄がTOPIXをはじめとした指定インデックスを上回っています。

「国内株式型」ファンドの2017年運用成績

20180119_kokunai_result10.jpg

※DC(確定拠出年金)、SMA(ラップ口座)除く、残高10億円以上
出所:モーニングスター作成

 国際株式型では、パフォーマンス上位は、中国やインドなどエマージング株式に分類される銘柄で占められました。指定インデックスの「MSCIエマージング・マーケット・インデックス」の昨年1年間の上昇率は32.7%(円ベース)でしたから、トップ10は全てインデックスを上回る成績でした。

「国際株式型」ファンドの2017年運用成績

20180119_kokusai_resuli10.jpg

※DC(確定拠出年金)、SMA(ラップ口座)除く、残高10億円以上
出所:モーニングスター作成

 ちなみに、国内株式のトップになった「JPMジャパン・テクノロジー・ファンド」は既に運用年数が18年におよぶファンドですが、過去10年(年率)を振り返っても、国内インデックスを上回る成績を残しています。ただ、純資金流出入額をみると、ずっと流出になっています。パフォーマンスの良いファンドは、利益確定で売却の対象になることはやむを得ないところがあります。

「JPMジャパン・テクノロジー・ファンド」の資金流出入(月次)とパフォーマンス

MF_JPMtech.jpg

出所:モーニングスター作成


 つみたてNISAが定着し、成長していくためには、制度に対する理解が進むとともに、制度そのものが魅力的な制度である必要があります。「長期投資に相応しい低コストのファンドを揃えました」という一方で、「魅力的なパフォーマンス実績のあるファンドが選べます」というのもまた、制度の普及を促すひとつのきっかけにはなるでしょう。株式投資の魅力がクッキリと表れた2017年のパフォーマンスを振り返ると、「つみたてNISAの対象商品の考え方」に、もう少し柔軟であっても良いように思えてきます。


【関連記事】
つみたてNISA(積立NISA)で始める20年投資、過去20年間で最も儲かった投資商品は?
教えて! つみたてNISA(積立NISA)のアクティブファンド
つみたてNISA、メリットを最大限生かしデメリットを抑えた運用方法とは?

最新記事

つみたてNISAトップページへ>>