つみたてNISAコラム

つみたてNISAの積立設定の受付開始、品揃えやサービス内容の充実でネット証券が先行

 つみたてNISA(ニーサ、少額投資非課税制度)の積立設定の受付が始まりました。SBI証券が12月17日からスタート、楽天証券は26日からとしています。今年10月ごろから各社で始まった口座開設の申し込み受付から、取扱商品の公表、そして、具体的な商品と積立金額の指定が始まりました。つみたてNISA口座は、銀行、証券、信用金庫など、幅広い金融機関が取り扱っています。その中にあって、取扱い商品の品揃えとサービス内容については、ネット証券4社が抜きんでているようです。今後、各金融機関において、サービス内容の拡充は進んでいくと考えられます。

 つみたてNISAは、年間40万円、最長20年間にわたって投資収益が非課税になる積立型の税優遇口座です。商品の購入方法を「積立投資」に限定していることもあり、「投資初心者」、または、「もう一度投資をやろうという人」を主たる利用者に置いた制度と位置付けられています。この制度を通じて、国民に広く投資を通じた資産形成を進めてほしいという政府の願いがあり、対象商品は株式投信を主とし、「ノーロード(販売時手数料無料)」、かつ、「低コスト(国内インデックス投信は年0.5%以下など信託報酬に上限を設定)」など、「長期の資産形成に相応しい商品」の条件を金融庁が設けています。

 対象商品数は、12月18日現在で135本。公募投信が132本、ETF(上場投信)が3本になっています。公募投信の中で、運用会社の裁量によって運用成績を競うアクティブ運用のファンドについては、運用資産残高50億円以上、かつ、運用期間5年以上で、その間の資金流入が3分の2以上の期間という厳しい条件が付けられたため、公募投信の中で15本だけになっています。

対象商品4本以下が50金融機関以上

 つみたてNISAを取り扱う金融機関では、商品の品ぞろえを絞って提供しているところが多くなっています。4本以下の金融機関が、銀行・証券110金融機関中で50金融機関を超えているのが現状です。大手の金融機関でも三井住友銀行が3本、りそな銀行、野村證券が4本、みずほ銀行が5本という品揃えです。(参照:つみたてNISAの取り扱い商品数の金融機関別一覧)

 3本の品揃えの代表的な事例は、「日本株式」「先進国株式(日本を除く)」「8資産均等(バランス)」という品揃えパターンです。4本の場合は、それに、「新興国株式」が加わります。4本以下の品揃えでサービスを提供する場合は、「投資に初めての方が商品の選択で迷わない」ことが主眼になっているようです。「日本株式」と「先進国株式(日本を除く)」を選択すれば、世界の株式に幅広く投資する運用が可能となります。また、「8資産均等(バランス)」であれば、国内外の株式・債券・リートに幅広く投資する(新興国の株式・債券を含む)国際分散ポートフォリオでの運用ができるのです。

 積立投資の場合、株式など比較的価格変動率が大きな資産では、価格下落時により多くの量を購入することで平均的な買い入れコストを引き下げる「ドルコスト平均法」の効果が期待できます。3本の品揃えがあれば、「日本株式だけで運用」、「世界の株式に分散投資」、「債券やリートも含めた国際分散投資」という基本的な投資の枠組みで投資の効果を体験してもらうことができます。投資商品の基準価額の推移には、投資資産の値動きがストレートに反映され、時に大きく値上がりし、また、下落するという価格変動のフレ幅に接することができます。

 4本以上の品揃えになると、アクティブ投信を加えたり、バランス型の品揃えを手厚くするなど様々な工夫があります。三菱東京UFJ銀行は、当初は取扱い商品4本の発表だったのですが、アクティブ投信も含めた12本まで品ぞろえを拡充しています(インターネットバンキング専用投信を含む)。金融庁が公表している対象商品リストは、10月2日時点の103本から、12月18日には135本まで徐々に拡大しました。つみたてNISAの取り扱い商品数を制限する法はないため、今後、顧客ニーズや対象商品数の拡大などを受け、商品数の見直しが進むだろうと考えられます。

品揃え100本超のSBI、楽天、マネックスは最低積立金額も100円以上

 このような中にあってネット証券では、つみたてNISA対象商品の全てを取り扱おうというような動きが進んでいます。SBI証券、楽天証券、マネックス証券は12月半ばまでに取扱い商品数が100本を超えました。100本を超える品揃えになると、たとえば、「TOPIX(東証株価指数)」に連動するインデックス投信でも、運用会社が違う、信託報酬率が違う複数の投信を並べる形になります。ネット証券には、商品の分かりやすい選択方法などの工夫が求められているといえるでしょう。

 インデックス投信は、単純に「もっとも信託報酬率が低い商品を揃えれば良い」ところですが、運用会社による信託報酬の引き下げ競争は未だ終焉していないため、「どれが最安」という結論が出ていません。運用に関する情報提供のし方などには運用会社の個性が出るため、「投資家の多様なニーズに応える」という観点では、ネット証券が競うように、対象商品数を拡大する理由もわかります。

 また、ネット証券で特筆できるのは、100円以上1円単位で積立プランが策定できる点です。つみたてNISAは年間限度額が40万円であるため、毎月積み立てる場合は、1カ月当たり3万3,333円という中途半端な金額になります。小口の資金単位で積立投資ができるようにして限度額いっぱいまで資金を積み立てることも可能にしています。

 また、SBI証券では毎月の他、毎週、毎日にも対応。楽天証券は、毎日に対応しています。ノーロードで積み立てるつみたてNISAの特性を考えれば、毎週一定金額を積み立てて平均買付単価を安定化させようという使い方もあるでしょう。

 ネット証券では、ネット上で提供している情報を利用者が読み解いて、自分自身の判断で自力で運用方法を決めるというのが基本です。各社の公式ホームページ上には、ロボアドバイザーといわれるポートフォリオの作成支援ツールなどもあります。ネット証券の場合は、「株式取引」や「FX(外為証拠金取引)」などの幅広いサービスが、同じ画面の中に入口があるため、最初に取引を開始する場合は、どこから始めればよいのか戸惑うこともあるでしょう。その際には、各社にあるコールセンターに電話して取引開始のし方を問い合わせるなど、よく理解した上で、取引を進めたいところです。

インターネット専業証券4社の「つみたてNISA」サービス概要

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出所:モーニングスター作成

 一方、最初は専門家に相談したいと考える方は、銀行や証券会社など有人店舗のある金融機関を訪ねる方が良いでしょう。各金融機関では、投資が初めての人に丁寧に説明することについて習熟したアドバイザーがいます。ただ、積立プランにおいては、毎月積立が基本で、取扱金額は取扱い金融機関によって「1万円以上、1,000円単位」から、「1,000円以上、1円単位」など、各社でまちまちです。取扱い商品も各社で異なります。納得のいく説明、納得のいくサービスが受けられる金融機関と取引を始めましょう。

 資産形成は、金融機関との長い取引の始まりになります。つみたてNISAは、投資をスタートした後で、毎日のように価格変化を確認する必要はありませんが、少なくとも年に1-2度は資産の現状を確認し、生活環境の変化(昇給、結婚、子供の誕生、転職など)に応じて積立計画の見直しを検討します。その際に、専門的な立場でアドバイスしてくれる相談者が得られれば、心強いと思います。

 つみたてNISAで始める月々数千円~3万円程度の積立投資は、資産形成の最初の一歩に過ぎません。預貯金のない人、あるいは、預貯金だけで投資の経験のない人にとって、最初の一歩を踏み出すことは、とても大切なことです。取引金融機関は1年経てば変更もできます。「まずは、始めてみること」。お近くの金融機関でもネット証券でも、つみたてNISAの窓口は、すぐ近くにあります。

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