つみたてNISAコラム

資産別リターンに見る、積立投資の上手な活用術

 2018年1月から開始となる「つみたてNISA」のスタートまで1カ月を切った。また「個人型確定拠出年金(iDeCo)」においては2017年1月から加入対象が大幅に拡大されており、積立投資を行う環境が税制面からもますます整いつつある。そこで今回は、国内外株式・債券・REITの6資産を対象に、積立投資と一括投資の成果を比較することにより、それぞれの投資法が有利となる局面を見てみる。

積立投資は値動きが大きい資産で威力発揮

 資産別に投信のリターンを指数化したモーニングスターインデックスに基づき、一括投資と積立投資を行った場合の過去10年間のリターンを比較したところ、6資産のうち比較的値動きの大きな国際株式型、国内株式型、国際REIT型、国内REIT型において、積立投資のリターンの方が一括投資よりも高くなった(図表1参照)。反対にリスクが相対的に低い国内債券型や国際債券型では一括投資のリターンが上回っている。積立投資は、投資タイミングの分散により相場下落時の損失が軽減され、多くの口数を安く買うことができるが、こうしたメリットは株式やREITのような値動きの大きい資産でより発揮されている。


図表1:資産別の一括投資と積立投資のリターン比較(過去10年間・年率)


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※積立:2017年11月末までの過去10年間で計120回毎月積立したと仮定
※大分類別のモーニングスターインデックス(単純)に基づく
出所:モーニングスター作成

 投資家にとって馴染みのある国内株式を対象に、具体的に積立投資の効果を説明しよう。国内株式型ファンドを対象に2017年11月末までの過去10年間で一括投資と積立投資を行った場合の累積リターンを見ると、積立投資では資産が2.04倍となったのに対して、一括投資は1.61倍にとどまっている(図表2参照)。


図表2:国内株式型ファンドの一括投資と積立投資の累積リターン比較


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※積立:2017年11月末までの過去10年間で計120回毎月積立したと仮定
※「モーニングスターインデックス 国内株式型(単純)」に基づく
出所:モーニングスター作成

 差が大きく開いた要因は、2008年のリーマン・ショックだ。2008年にはリーマン・ショックで国内株式が大きく下落したが、同年の積立投資のリターンは▲25.73%と、一括投資の▲41.97%に比べて損失幅は限定された。投資タイミングを分散するという積立投資の効果が発揮されたと言える。

 さらに、リーマン・ショック後は、価格下落時には購入口数を多くすることができる積立投資のメリットが表れ、株価が急反発した2009年のリターンは、積立投資が31.62%と、一括投資の12.35%を大きく上回った。リーマン・ショックのあった2008年9月から累積リターンがプラスに転じるまでの期間(図表では10,000ポイント回復までにかかった期間)は、積立投資で19カ月、一括投資で64カ月と、大きく差が開いている。

 一方 、国際債券型ファンドを対象に2017年11月末までの過去10年間で一括投資と積立投資を行った場合の累積リターンを見ると、2014年11月に一括投資が積立投資を逆転し、その後も上回る状態が継続している(図表3参照)。国際債券型で一括投資の方が有利となったのは、国内株式型と比べて値動きの幅が小さく、リーマン・ショックの影響が限定されていたことが大きい。金融危機があった2008年の一括投資のリターンは▲23.33%と積立投資の▲18.75%より下げ幅は大きかったものの、積立投資との差は国内株式での比較ほど開いていない。


図表3:国際債券型ファンドの一括投資と積立投資の累積リターン比較


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※積立:2017年11月末までの過去10年間で計120回毎月積立したと仮定
※「モーニングスターインデックス 国際債券型(単純)」に基づく
出所:モーニングスター作成

万能ではない積立投資、上昇局面では一括投資が有利

 リーマン・ショックを含む過去10年間では株式やREITといったリスク資産で積立投資が有利となったが、同じ検証を過去5年間で行った場合はどうだろうか。この5年間は、2012年12月に安倍政権が誕生し、アベノミクスがスタートしたほか、国内外で金融緩和が進んだことから、株式・REITなどのリスク資産の価格は概ね良好であった。その結果、6資産全てで一括投資の方が積立投資よりも高いパフォーマンスを上げている(図表4)。資産価格が上昇基調にあるときは、一括投資の方が良好な運用成果となる傾向があると言える。


図表4:資産別の一括投資と積立投資のリターン比較(過去5年間・年率)


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※積立:2017年11月末までの過去5年間で計60回毎月積立したと仮定
※大分類別のモーニングスターインデックス(単純)に基づく
出所:モーニングスター作成

 このように積立投資は万能ではないものの、一度にまとまった額の投資が難しい場合や、時間分散効果によるリスクの分散を図りたい場合に、大きな魅力を持っている。また、相場の上昇局面では一括投資が有利とは言え、将来の市場動向を予想するのは容易ではないことから、特に初心者にとって積立投資は始めやすい資産運用の手段であると言えよう。

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