つみたてNISAコラム

つみたてNISA採用ファンド、熾烈な競争で国内株式インデックスは年0.2%以下に収れん

 つみたてNISA(少額投資非課税制度)の運用開始を来年1月に控え、主要な金融機関のラインナップが出そろってきました。特徴的なのは、「品数の多さで群を抜くネット専業証券」と「少数厳選のラインナップの銀行」という図式です。投資未経験者を数多く抱える銀行は、極力シンプルなラインナップを用意して「投資の未経験者に投資の第一歩を踏み出してもらう」ことに力点を置いているように見受けます。今後は、資産形成の必要性や、資産形成におけるNISAのメリットを、いかに多くの人に広く伝えていくかということが重要になります。

 つみたてNISAの対象商品として金融庁が登録を認めた商品は、指定の株価指数に連動するインデックスファンドが大半です。アクティブファンドには、設立5年以上、かつ、その間の資金流入が3分の2以上、かつ、残高50億円以上という厳しい条件がつけられているため、対象ファンドがなかなか増えません。結果的に現在までに対象商品にリストアップされた114本のファンドのうち、100本はインデックスファンドになっています。

 また、インデックスファンドが連動をめざす株価指数にも指定があります。実際に採用されている指定株価指数は、日本株式では「TOPIX」、「日経225」、「JPX日経400」の3つ。全世界株式は「MSCI ACWI」、先進国株式は「MSCI World(除く日本)」(=MSCIコクサイ)、そして、新興国株式は「MSCI Emerging Markets」がメインで利用される指数になっています。

 インデックスファンドで、かつ、連動をめざす指数も同じとなれば、商品性として差が現れるのは、運用コストに相当する「信託報酬」の水準ということになります。厳密には、指数との連動のズレを示すトラッキングエラーの優劣などを評価して良し悪しを判断しますが、現在のところ、つみたてNISA向けにインデックスファンドを提供している運用会社は、国内の大手運用会社ばかりです。実績や経験は、それぞれに十分に積み重ねていますので、運用の巧拙の影響は大きくないといえます。

 そこで、運用会社ごとにつみたてNISAの対象商品になっているインデックスファンドのシリーズを比較すると、信託報酬の引下げ競争が、相当熾烈に行われていることがわかります。以下に各社の代表的なインデックスファンドシリーズの信託報酬を並べました。三菱UFJ国際投信は、11月10日から「eMAXIS Slim」の信託報酬水準の引き下げを発表しました。「eMAXIS Slim」は、業界で最低水準の信託報酬を特徴としていますので、その商品性を実現する料金改定を実施したことになります。


つみたてNISA採用のインデックスファンドシリーズ


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※ セルの下段は年率の信託報酬(税抜)、黄色は同一インデックスで最低の信託報酬
出所:モーニングスター作成(2017年11月7日現在、発表分を含む)

 ただ、実際の採用状況としては、「eMAXIS Slim」はネット専業証券だけに採用されています。銀行や証券会社の採用で目立つのは、三菱UFJ国際投信の「つみたて」シリーズ、大和投資信託の「iFree」シリーズ、アセットマネジメントOneの「たわらノーロード」シリーズ。次いで、野村アセットマネジメントの「野村つみたて」シリーズ、そして、三井住友トラスト・アセットマネジメントの「SMT」シリーズ、りそなアセットマネジメントの「Smart-i」シリーズです。

 銀行で主に提供される組み合わせは、「国内株式」「先進国株式」「バランス(8資産均等)」の組み合わせになっています。つみたてNISAが、積立投資(定期継続買付)のみによって購入できる制度であるメリットを活かす点では、価格変動が大きな「国内株式」「先進国株式」など株式インデックスへの投資が有効といえます。価格が下がった時に、より多くの量を購入し、価格の反発時に利益が出やすくなる「ドルコスト平均法」のメリットが受けやすくなるからです。この分野では、各社から年率0.2%を下回る商品が提供されています。

 一方で、初めて投資をした際に、場合によっては数十%も値下がりする可能性がある株式への投資に抵抗がある方には、国内外の株式・債券・リート(不動産投信)に幅広く投資した「バランス(8資産均等)」に投資することで、より穏やかな価格変動で資産形成を進めてもらおうという考えでしょう。「バランス(8資産均等)」について、各社から年率0.22%程度の低コストファンドを出しているのは、この分野に大きなニーズを感じ取っての値付けだと考えられます。

 つみたてNISAは、資産形成層に投資商品の利用を促すため、収益非課税というNISAの制度メリットを提供するとともに、「ノーロード(購入時手数料が無料)」、かつ、「低信託報酬(国内インデックスファンドの場合は年0.5%以下など)」という運用コストの低減メリットも用意しています。実際に提供される商品群は、年率0.2%程度を中心としています。これほど低水準の商品群が、そろってノーロードで提供されるということは、かつて見られなかった画期的な出来事といえます。


つみたてNISA採用のインデックスファンド(資産均等配分のみ)


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出所:モーニングスター作成


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