つみたてNISAコラム

iDeCoやつみたてNISAで資産形成、日本人の預貯金好きを変えるきっかけに

 iDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)の加入者は7月時点で58.44万人になり、昨年12月(30.63万人)から、半年余りで加入者数はほぼ倍増しました。しかし、加入者数が増えたとはいえ、日本の25歳~54歳の人口4,838万人(2017年7月)に対するiDeCo加入者の比率はわずか1.21%にすぎません。日本では、2014年に「NISA(少額投資非課税制度)」開始以来、16年開始の「ジュニアNISA」、17年に加入対象者が国民全体に広がった「iDeCo」、そして、来年1月からの「つみたてNISA」と、国が主導する資産形成支援策が相次いで打ち出されています。それでも期待ほど制度が活用されていないのは、「国民の有価証券投資への関心の低さ」が背景にあるといわれます。日本人の資産形成に有価証券(株式や投資信託など)は不要なのでしょうか?

日本人の預貯金好きは「国民性」と割り切っていいの?

 金融庁が実施した「国民のNISAの利用状況等に関するアンケート調査」(2016年2月実施)によると、投資未経験者に「資産形成のために有価証券投資を必要と思いますか?」と聞くと、83%の人が「必要ない」と答えました。実際に、日本の個人金融資産に占める有価証券の比率は18.8%(2015年末)で、英国35.7%、米国45.4%と比較して、かなり低い比率です。現金・預金の比率は、日本51.9%、英国24.4%、米国13.7%ですから、日本では「貯蓄といえば預貯金」が当たり前になっています。

 アンケートによると、投資教育を受けた経験がない日本人は71%で、その投資教育を受けたことがない人に「金融や投資に関する知識を身につけたいですか?」と聞くと、67%という過半数の人が「そうとは思わない」と答えています。日本の預貯金による貯蓄の常識が大きく変わるような状況は期待しづらいというのが実情です。

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 単純に、このことだけを取り上げれば、「国民性の違い」と片付けることもできます。「日本人は預貯金が好き。それでいいでしょ」というわけです。しかし、もう少し過去にさかのぼって考え、将来を展望すると、「日本人は預貯金好きでいい」とばかりも言っていられなくなります。

米国の家計所得の3分の1は不労所得、日本人はほぼ勤労所得

 まず、家計金融資産の金額の推移をみると、1995年から2015年までの20年間で、米国の家計金融資産は3.11倍になっているのですが、この間、日本は1.47倍になっただけです(英国は1997年から2015年までに2.27倍)。その結果、何が起こったかというと、米国の家計所得に占める財産所得の割合が30%を超えるほどになっているのに、日本の家計では財産所得は10%程度でしかないという差ができています。日本人が収入のほとんどを勤労所得によって得ていることと比較して、米国人の収入の3分の1は、株式等の配当や値上がり益といった不労所得で得ているということです。

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 もちろん、金融資産の積み上がりには、資産形成に有価証券を使ったかどうかだけで決まるわけではありません。所得が安定していたのか、金利水準や株価推移など、様々な要因を考慮する必要があります。しかし、日本の家計金融資産が20年間で50%増にしかならなかった間に、米国は3倍以上になっている格差は見過ごしにはできません。わずか20年間の間に、日米の家庭に現れた格差は大きいものがあります。

 しかも、勤労所得は高齢になれば減少する一途ですが、財産所得は年齢に関係なく得られる所得です。また、財産所得は、「年利3%で運用できれば、年間3%取り崩しても元本は減らない」など、計算して使い続けることもできます。65歳まで現役を続けたとしても、公的年金の不足額を補うために働き続けることは加齢とともに難しくなります。その際に、一定の金融資産があれば、その取り崩しによって働かなくてもある程度の暮らし向きを維持することができます。超高齢社会を迎える日本だからこそ、家計金融資産を拡充すべきでしょう。

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20年間で資産を3倍増する方法は投資の発想でこそ実現

 実際に、所得の3分の1が金融資産からの収入で得られたら、誰も金融資産について無視できなくなると思います。あるいは、20年間で3倍になると言われたら、その方法に関心を持つのではないでしょうか? たとえば、300万円を900万円にするには、毎月1万円を積み立てて、20年間で年率3.3%で運用できれば良いということになります。年率3.3%の運用は、ゼロ%金利の預貯金では実現できません。

 たとえば、「MSCIオールカントリーワールド(ACWI)インデックス除く日本」という先進国や新興国など日本を除く世界の株式に幅広く投資するインデックスの過去20年間の年率平均リターンは日本円換算で6.0%(リスクは19.5)でした。また、日本を除く世界の国債を対象とした「シティグループ世界国債インデックス 除く日本」の円換算の20年平均リターンも5.0%(同10.7)です。日本株(TOPIX配当込み)に投資した場合は20年平均1.8%(同18.0)、日本国債(NOMURA-BPI国債)では同2.1%(同2.3)なので、どちらも3%には届きません。4つの資産に均等投資すると、20年平均リターンは4.3%(リスクは9.9)になります。日本の外に目を向け「投資」をすることで、「20年間で資産を3倍」ということも、あまり無理なく実現することができそうです。

 上記の「MSCI ACWI Index」「シティグループ世界国債インデックス」「TOPIX配当込み」「NOMURA-BPI国債」などは、「つみたてNISA」の投資対象インデックスに採用されているほど、日本では一般的なインデックスファンドのベンチマークになっています。投信を使うことで手軽に投資できる対象です。

 iDeCoや「つみたてNISA」を通じて、20年-30年という長期にわたる積立投資を考えると、投資に関する考え方が変わってくるように思います。「まずは毎月5,000円」など、できる範囲で投資に踏み込むことで、投資の効果を実感するところから始めてみてはいかがですか?

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